アルテオ神話(エピソードクエスト)まとめ(3)
- エピソードクエストの内容に関する重要なネタバレが含まれます。ご注意ください。
ポセイドンを助けた男 / 「ポセイドンの祝福」 / ハルコンの守護者と「トリックスター」 / 「16人」の守護者
ポセイドンを助けた男
ポセイドンは、エンキクラドュスに向けて矢を放った男に尋ねました。
「弓を放ったのはお前か?」
その男は膝をつき、丁寧に答えました。
「海の神様よ、さようにございます」
「大した腕前だな。名をなんという?」
「私の名前はロビン・バン・ペルオジャと申します。
1ヶ所にとどまることなく、海の中をさまよいながら剣と弓を磨く水人族です。
たまたま近くを通りかかったのですが、危険を感じ一時も早く何とかしなければならない状況だと思い、あえて弓を使ってしまいました。
どうかお許し下さい…」
ポセイドンは、彼の頭に手を置きながら言いました。
「顔を上げるが良い、水人族の息子よ。
お前に力を与えよう。
その力で私に命を捧げるのだ」
ポセイドンが持ち上げた右手から水玉が凝縮され、煌く青い宝石が現れました。
「これは海を象徴する宝石アクアマリンだ。
このアクアマリンが持つ力をお前に与えよう。
お前は永遠の若さと、近い未来を見通す眼を手に入れることができるのだ」
ポセイドンの手から離れた青い宝石はロビンの手に渡され、彼の手のひらの上で眩い閃光と共に消えてしまいました。 そしてポセイドンはロビンに向かって、こう言いました。
「お前に与えたその力で、あの女性の守護者になってくれぬか?」
ロビンは、答える前にネペトリを見つめました。 実はロビンは、ポセイドンが現れるよりも早くエンキクラドュスに捕らえられたネペトリを発見し、 彼女を救うためにずっとチャンスを狙っていたのです。 結果的にエンキクラドュスは死にましたが、ネペトリはポセイドンに拘束されてしまうことでしょう。 ロビンはネペトリを救おうとした自分の行為が、彼女をもっと酷い目に合わせてしまっているのではないかと思えてきました。 しかし長くポセイドンへの返事を待たせるわけにはいかず、ロビンは考えをまとめぬまま答えました。
「分かりました。
私の全てを捧げ、彼女の守護者となりましょう。」
「ポセイドンの祝福」
美しいネペトリに一目ぼれしたポセイドンは、ネペトリに求婚を申し込みました。 ポセイドンはプレメイア王国が仕える海の神であると同時に、ネペトリ自身の神でもあります。 ネペトリは、自らの愛する王国を危険にさらすわけにはいかないと、ポセイドンの求婚を受けることにしました。
ポセイドンは自分だけが知るとても遠い深海の中に秘密の場所を作り、ネペトリを隠しておくことにしました。 その場所に宮殿を建て、プレメイア王国よりも立派な楽園を作り上げました。 その楽園が、後のアルテオ帝国です。 また、彼女の気持ちをつかむためにハルコンで彫像を彫ってプレゼントすることにしました。
神の宝石と呼ばれるハルコンは、人間が近づくことが出来ない地球の中心の深いところにある特定の溶岩地帯で、 高い圧力と熱によって生成されるといいます。 アルテラス火山の噴火口から噴出され、深海の冷たい水と接することで形を成し、 気が遠くなるほどの年月を経て作られるのです。 また、よく研磨されたハルコンには、可視光線以外にも未知の領域がありました。 その波長が視神経を通じて脳波に伝達されれば、一種の催眠のような効果を得ることができるのです。 ポセイドンはこのハルコンを、神々の国に住む女神達にだけプレゼントしていました。 しかし、この世にもう現れることがないであろう、巨大な(拳くらいの大きさ?)ハルコンの存在については、 誰にも言ったことはありませんでした。 ポセイドンはその巨大なハルコンを使い、彫像を彫ろうとしたのです。
ポセイドンは、海底洞窟に身を潜めていた火山と鍛冶の神ヘパイストスに、ハルコンを彫刻してくれるよう依頼しました。 ヘパイストスは、全ての女神達の賞賛を受けるほど素晴らしい腕前を持っていました。 彼はアルテラス山脈の噴火口の中で最も熱い溶岩を利用して製錬した特別な道具を使い、ハルコンの塊を美しい彫像に仕上げました。
この彫像「ポセイドンの祝福」は、ハルコンが光そのものに応じて輝き、 闇の中でも光を呼び入れ、その光を増幅させて太陽のように闇を照らしました。 そんなハルコンの希少価値、彫像の美しさや潜在的な力のため、この彫像は他の神々もが欲しがりました。
ハルコンの守護者と「トリックスター」
ポセイドンは自分自身が表立って神々といざこざを起こすことは避けたいと考えましたが、 愛するネペトリと「ポセイドンの祝福」を守ってくれる者は必要でした。 ポセイドンは美しい宝石に封じられた生命力と魔力に新たな力を注ぎ、守護者を生むことにしました。
ポセイドンが最初に選択した宝石は、アレキサンドライトでした。 アレキサンドライトはハルコンに劣らず、珍しくて美しい宝石です。 このアレキサンドライトは、ネレイデスからの贈り物でした。 ネレイデスはネペトリの存在を知って激しい怒りを感じ、 彼女の最大の宝物であるアレキサンドライトを差し出す事でポセイドンの気をひこうと考えたのです。
しかし、このアレキサンドライトには陰謀が隠されていました。 ネレイデスは大魔女キルケに依頼し、「憎悪」「怒り」「復讐心」で燃える魂をアレキサンドライトの中に吹き入れさせたのです。 そしてキルケは、ネレイデスからの使いとしてそれを直接ポセイドンに渡しました。 彼女の魔法のせいか、ポセイドンはその事実に気付く事はできませんでした。 ポセイドンはアレキサンドライトに、彼の持つ最高の力を与えました。 こうして、最初の守護者(※)であると同時に復讐の化身である「ヤヌス」が誕生しました。
また、ポセイドンは、ハルコンの力を制御する能力をネペトリの息子と娘達に与えました。 アルテオ帝国の人々は、ハルコンの力を使いアルテオを支配するネペトリの子孫達を「トリックスター」と呼び、英雄として讃えました。 そしてハルコンの守護者は「トリックスター」達の資格を審判し、認めた者のみに従うのです。
「16人」の守護者
守護者ヤヌスの鎧と兜は光と闇の中で様々な色彩を見せ、アレキサンドライトの性質によく似ていました。 ヤヌスは「トリックスター」達とともに、ハルコンの彫像を狙ってきたゴルゴン、スキュラ、セイレネスらと戦いました。 彼の力はアルテオ帝国の安全に大きく貢献し、「トリックスター」達とアルテオ帝国の人々から、多くの信頼を得ていました。
しかし、ヤヌスは時が経つにつれて危険な存在へと変わっていきました。 アレキサンドライトが持つ本来の強い魔力は、ポセイドンが吹き入れた力で更に強化されていました。 そして時の流れによって増幅された復讐と憎悪の心が爆発し、 「トリックスター」達ですら制御できない破壊の守護者になっていったのです。 そして、ある日ヤヌスは「トリックスター」達とともに侵入者を相手にしていた危機的状況で、 「トリックスター」の制御を拒否して姿を消しました。 彼がどうして姿を消したのか、その理由は明らかにはなりませんでした。 アルテオ帝国の人々は、強大な自らの力を抑えきれずに自滅したのだと囁きあいました。
ヤヌスのことを聞いたポセイドンは、アレキサンドライトに吹き入れた力を15個の宝石に分けて吹き入れ、 ヤヌスに代わる守護者達を作りました。 彼らはヤヌスとは違い、お互いの能力を牽制して力の均衡を保ち、また危機には互いに力を合わせました。 こうして、最初の守護者であったヤヌスは世界で数人が知るだけの伝説的存在となりました。 15個の宝石から生まれた15人の守護者達、そして宝石の力を授かったロビンの16人が、 「ポセイドンの祝福」とネペトリを守る守護者となったのです。
※編者注:
ヤヌスが生み出される前にロビンがネペトリの守護者となっていますが、
「エピソード1」中でこの表記が頻繁に使われているため、ヤヌスを「最初の守護者」として扱っています。