アルテオ神話(エピソードクエスト)まとめ(1)
- エピソードクエストの内容に関する重要なネタバレが含まれます。ご注意ください。
呪われし運命 / エンキクラドュスとポルティナ / 外れた槍
呪われし運命
「ネレイデス」とは、海の神の娘である、海の精霊達の総称です。 遥か昔、その50人のネレイデスの14番目の姉妹が、運命の女神の決定に逆らったことがありました。 彼女はある人間の男を愛しており、その男が運命によって定められた死を迎える瞬間、女神達を欺いてその男の命を救ったのです。 しかし、生まれながらにして定められた人の運命は、神でさえも犯すことはできません。 運命を変えてしまったネレイデスに罪を償わせるため、運命を司るモイライの三女神の一人「機を織る女神」クロトは、 生まれてくる子供の運命に「呪い」を織り交ぜた糸を紡ぎました。 女神達はさらに、兄弟神である「死の神」タナトス、「宿命の神」ケド、「老化の神」ゲラス、「苦痛の神」オイジスの力を借り 織り上げた「呪い」をさらに強くしました。
この事実を一足早く知ったネレイデスは、生まれてくる子供、エンキクラドュスを救ってくれるように他の神々に頼みました。 しかし、神々でさえもすでに決定されてしまった運命を変えることはできませんでした。
しかし運命の三女神の次女「恩恵の女神」ラケシスは、エンキクラドュスが生まれる日、他の女神達に隠れて一つの恩恵を与えていたのです。 それは「永きに渡る運命よりも強い真の愛で、この呪われた糸を断ち切ることができる」という恩恵です。 その事実は誰も知りません。
「美の女神」と「知識の女神」に祝福されたのか、エンキクラドュスはとても美しく聡明に育ちました。 しかし、成人を迎えると神々の呪いによって、エンキクラドュスは三頭の化け物へと変わり果ててしまいました。 美しかった人間の姿は、3つの頭のうちの1つにだけ、かろうじて見られるだけ。 その頭は対話ができるくらいには人間としての理性を残していましたが、残りの2つの頭は本物の化け物で、 お互いがお互いの頭を食いちぎってしまうほどでした。
エンキクラドュスとポルティナ
エンキクラドュスは、人々に醜い化け物の姿を見られたくないという思いから、深い海の闇の底に身を隠しました。 しかしある日、海の精霊達からある便りが伝えられました。 恋人ポルティナがエンキクラドュスを探して深海への入り口である海に飛び込もうと、海辺の断崖の上に立っているというのです。 エンキクラドュスはポルティナを止めるため、自分が化け物の姿であることを忘れて駆けつけました。
エンキクラドュスが断崖に姿を現したとき、ポルティナはその化け物がエンキクラドュスだとは気付きませんでした。 突然現れた化け物の姿に後ずさりし、恐ろしさと嫌悪感でいっぱいになった彼女の表情に、エンキクラドュスは絶望しました。 彼女はすぐにその化け物がエンキクラドュスだという事実に気付きましたが、 それはエンキクラドュスの絶望に満ちた叫びにかき消されました。
「僕を眺めているあなたの反応を見るのが、僕にとってどれだけ残酷なことだか分かるかい?
君はこの醜く変わり果てた姿をその目で見たくてここへ来たのか?
それとも君はこんな化け物も愛することができるとでも言うのかい?」
「私は化け物を愛することはできないわ。
けれどあなたが愛するエンキクラドュスなら、わたしにとっては化け物なんかじゃないわ。
たとえあなたの姿が変わってしまっても、私の気持ちは変わらない…。
それとも、あなたは気持ちまで変わってしまったの?」
それが、エンキクラドュスとポルティナが交わした最後の言葉になってしまいました。
外れた槍
ポルティナに一目ぼれした技師スカーは、彼女の後をつけていました。 彼がポルティナに告白するチャンスをうかがっていると、断崖にエンキクラドュスが現れました。 ポルティナがエンキクラドュスに食べられてしまうのではと思った技師スカーは、 無防備なエンキクラドュスに向けて、猛毒が塗られた槍を投げました。 これに気付いたポルティナはエンキクラドュスをかばい、槍に刺さって命を落としてしまいました。
エンキクラドュスは、化け物になった自分を愛してくれたポルティナの気持ちを最後まで信じることができず、 さらには死に追い込んでしまったという罪悪感に苦しみ、海の中に消えていきました。