アルテオ神話(エピソードクエスト)まとめ(2)
- エピソードクエストの内容に関する重要なネタバレが含まれます。ご注意ください。
プレメイア王国のネペトリ / 運命の血石とエンキクラドュスの想い / エンキクラドュスの死
プレメイア王国のネペトリ
太平洋に、小さな島で成り立った「プレメイア」という王国が存在していました。 その島への海路はとても遠く、また困難なものであったため、 異国の人間が出入りすることなどほとんどなく、貿易商人が大陸を行き来する際に立ち寄るだけの小さな島国でした。 しかし、地上のパラダイスと呼んでもいいほど、自然が豊かでとても美しい島でした。
王国には、女神さえも嫉妬するほどの美貌をもったネペトリという王女がいました。 王女は国民に慈悲と勇気を与え、幸せと幸運の象徴と讃えられ、生きるものすべての愛を一身に受けていました。 ネペトリの美貌のうわさは異国の地にも伝わりましたが、プレメイアがあまりにも小さい島国だったため、 わざわざ訪れる者はいませんでした。 ネペトリはポルティナの生まれ変わりでしたが、彼女はその事実を知りません。
王国では、ネペトリの結婚の準備が進められていました。 相手は勇猛果敢な大陸国イリオンの富豪の息子である王子です。 海の化け物(=エンキクラドュス)が現れてネペトリを狙っているため、政略結婚を急いでいたのです。
しかしイリオンの王子が率いていた艦隊は、プレメイアに着く前にエンキクラドュスと出会い、死闘の末に全滅してしまいます。
運命の血石とエンキクラドュスの想い
ポルティナとエンキクラドュスは、それぞれに「運命の血石」と呼ばれる宝石がはめこまれた、つがいのネックレスを持っていました。 そのネックレスは、エンキクラドュスが呪いを受けたとき、「愛の女神」の祝福によって受け取ったものでした。 運命の血石は、相手が生きているときは赤い色、相手が死んでしまったときは黒い色に変わり、相手の生死を知らせるのです。 ポルティナの死後、彼女のネックレスは海の精霊達が持っていましたが、やがてネペトリの手に戻ることになります。
ポルティナの死後、エンキクラドュスのネックレスの運命の血石は黒く変わったままでした。 しかし10年ほど前に再び赤い輝きを取り戻しました。 それは、ポルティナが生まれ変わったという証でした。 そしてエンキクラドュスは、ポルティナの生まれ変わりを探して彷徨い、ネペトリを見つけ出したのです。 エンキクラドュスはネペトリに全てを話し、彼女が不幸にならないよう、繋がっている運命の糸を切るつもりでした。
エンキクラドュスは噂好きの海の精霊を使い、イリオンの王子が大怪我を負って海岸に流れ着いたという噂を流しました。 その噂を聞いたネペトリは、城を抜け出して海岸にやってきました。
そしてエンキクラドュスは、誰にも邪魔されずネペトリと話ができるように、彼女を深い海の底へと連れて行ったのです。
エンキクラドュスの死
エンキクラドュスはネペトリにネックレスを見せようとしましたが、そこに海の神ポセイドンが現れました。 ポセイドンは自らの領域である海を荒らしたエンキクラドュスに怒り、戦いを挑んだのです。 ポセイドンは白馬にまたがり、トライデントを掲げ、白い泡を絶えず立てながら物凄い勢いで向かってきました。
「今まで誰よりも死を待っていたが、やっと彼女に会えたんだ!
僕は今死ぬことはできない!」
エンキクラドュスは槍よりも鋭く大きな牙を剥き、必死にポセイドンに向かって飛び掛りました。 しかしポセイドンがトライデントを高く構え、円を描くように力強く振り回すと、巨大な波の渦がエンキクラドュスを飲み込みました。 エンキクラドュスの体は風にひるがえる落ち葉のように飛ばされ、岩に激突しました。 その衝撃でエンキクラドュスの3番目の頭が気絶し、首を垂らしました。
「私の海を荒らした愚か者よ。その対価は死のみだ」
ポセイドンはトライデントを高く掲げ、苦痛にうめくエンキクラドュスに近づきました。 一方のエンキクラドュスは砂の中に鋭い尻尾を隠し、ポセイドンの背中を狙っていました。 しかし、どこからか飛んで来た矢が、エンキクラドュスの尻尾を貫きました。 エンキクラドュスは鼓膜が破れるような悲鳴を上げましたが、ポセイドンは彼の体に深くトライデントを刺しました。
「こ…れで…死ぬ…なんて……」
エンキクラドュスは最後の息を飲み込むことも吐き出すこともできぬまま、ネペトリに近づこうとしましたが、 少しも動くことができませんでした。 ネペトリは、倒れてしまったエンキクラドュスから流れ出る血の海を見て悲鳴を上げそうになるのを、 両手で口を押さえて我慢するのがやっとでした。 彼女の目からはとめどなく涙がこぼれ、エンキクラドュスは彼女の涙を最後に目を閉じました。
死の使臣を導く先導役であるメイルウルフ達が、エンキクラドュスの死を感じ取り、遠巻きに群れを作り始めました。 しかし彼らよりも先に、運命の女神が現れました。
「ポセイドン様、あなたが彼の死に関われるのはここまでです。
彼の肉体はあなたの思い通り滅びました。
しかし彼の魂は最初から運命に定められた通り、私達が管理するもの。
私達が連れて行きます」
運命の女神達は、死の使臣が到着する前にエンキクラドュスの肉体から魂を抜き出し、連れて行きました。